ポシャルルの裏話

投稿しました。半年ぶりの個人作です。

ということで毎度のように裏話を書いていきます。

 

 

つくりはじめ

シャルルは最近ようやく音MADでも流行ってきた雰囲気がありますね。

実はこの流行に乗ったわけではなく、結果的に乗れたという感じです。

RPPを作ったのは2018年1月6日で、2年前でした。

crossbeats REV.で聴いていい曲だな~って思って作りました。

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↑プロトタイプです。人力はこの時点でほとんど完成していて、動画を作るのがとにかく面倒で放置していたら今になりました。あと今は地味にインストの音合わせも追加しています。

↑とても有益な情報

 

技術的な話 -歌詞改変について-

さて、この動画の技術的な話をしましょう。

技術的な話というと、VSTがどーだとかAviUtlのプラグインがどーだとかそういう話を想定しがちですが、ここでは他の人にはあまり取りざたされていない技術の話をしましょう。

歌詞改変の話です。

 

ShiMa — 歌詞改変に関する僕流の理論①【音MAD講座】
ShiMa — 歌詞改変に関する僕流の理論②【音MAD講座】
ここらへんで歌詞改変の技術について解説してきましたが、正直自分でもうまくまとめられなかったなあと思っています。

今回は歌詞改変の技術を解説するのにいい感じの事例ができたと思うので、何を思って作ったかを解説していければと思います。

 

韻を落とせ、意味も通せ

上で紹介した記事で話したことをざっくりまとめると、「韻を落とせ、意味も通せ」です。韻を落とせばうまく聞こえます。そのうえで、想定する文脈に合うように言葉を替えて新たな意味を付与するのが、「うまい」替え歌の秘訣だと思います。

音数は合わせる必要ないと思います。

 

韻とは

「韻を踏む」とは、ここではシンプルに「母音を合わせること」と定義します。
これもまだ狭義で、アナグラムなどこれではとらえきれないものもありますが、この記事ではこれで十分です。

フレーズの最初のほうで韻を踏むことを頭韻、最後のほうで韻を踏むことを脚韻と言います。

 

そもそもシャルルも韻の固い曲

替え歌に入る前に原曲のシャルルの歌詞を韻の観点から分析してみましょう。

下のグラフは、シャルルのサビを、時間を横軸に、母音を縦軸に表したものです。
1=ア段、2=イ段、3=ウ段、4=エ段、5=オ段の音を指します。

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注目すべきは、グラフがばらけているところではなく、黄色マーカーをつけた揃っているところです。

ここは恐らく作者としても意図的に合わせているところと言えるでしょう。

なので、この辺りはできる限り母音を合わせることを目標としていました。

そういう背景もあり、シャルルで音MADを作りたいと思った時に、まずはエ段に強い素材を探しました。そうしてたどり着いたのがZ会でした。

 

グラフにしてみる

これ以降、韻がどのくらい踏めているかを可視化するために、下のようなグラフを導入します。横軸は時間、縦軸は韻踏みの有無です。

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1=韻が踏めている状態(=母音が合っている状態)、0=韻が踏めていない状態ですね。
つまり、上にあればあるほど踏めているということになります。

ンの扱いとか無声音とかは本当は吟味すべきところですが、結構適当にグラフを描いています。

 

解説

本当は考察班が現れてほしいくらいに意味の詰まっている歌詞ですが、たぶん現れないので自分で解説します。

これは浪人生の一年間の歌です。

イントロ

受験に失敗するところから始まります。

 

Aメロ・Bメロ

Z会のCMで切り取られた場面を、浪人生の苦悩として描きました。

  • 頭を抱えて歩いた:抱えるのは花束ではないだろうと。
  • 軽口を物申した:今見ると元の歌詞のままでいい気がしました。
  • これからは復習一日六時間やる予定だ・俺の実力はこんなもんじゃねえだろう:こういう元のセリフそのままで韻を踏むの好きです。「ドーナツに穴があってよかったな~」でもやりました。ポシャルルはお前コナーズの進化系と勝手に思っています。

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Aメロ

 

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Bメロ

一番サビ

前半は、やる気に満ち溢れた一面。後半は、一方でそれが空元気であることを自覚していて、奮わない成績に苦しむ一面を描きました。

  • 俺はやるぜ受かってみせるぜ:前述の通り、Z会はエ段に強いので、こういう元の素材を活かした脚韻ができると踏んでいました。「受かってみせるぜ」は元の「雲の上」と比べるとかなり音数を詰め込んでいますが、問題なく聞けると思います。
  • ひどい失点は消えないが:「濁りきっては見えないや」と全踏み。
  • 重く抑えてた本音は:意味を通すためにあえて踏み外します。
  • うざってえ絶対:「うぜってーぜってー」と発音します。ちなみにこれまでは美声中心、ここからは叫び中心で、歌い方を変えています
  • 苦い判定 Dもないや:模試でE判定(志望校合格の可能性が一番低いランク)しか出ない様子です。
    韻の観点では、「いがみ合ってきりがないや」とほぼ全踏み。唯一踏み外したポイントも、ラスサビ「許しあって意味もないな」を鑑みれば踏めていないわけではないです。

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Cメロ

  • キャンパスライフなんて馬鹿らしいよな:もう既に大学に入学している同級生の様子を見て嘲るイメージです。
  • 「社会」のせいで今があるのにダブルミーニングです。地歴公民ができなくて落ちたトラウマが一つ。そしてもう一つは、そもそもなんで浪人しているのか、なぜ高い大学を目指さなければならないのか、高卒で働くという選択肢はなぜなかったのか、なぜ大学は自分が落ちるほどに定員が少ないのか、いろいろ含めての「社会のせい」です。好きな意味を託してください。

 

ラスサビ

勉強が嫌いだろうが、弱音があろうが、今はそれを隠して前に進まなければ、という決意です。(無理をすることを肯定したくはないですが……。)

  • 本音を隠して 合格してやるぜ:掛詞です。「かくして」が「合格してやるぜ」の中にあります。
  • 嫌いなんて意味もないな:「苦い判定 Dもないや」と全踏み。
  • 笑い合ってさよなら:ハッピーエンドです。いろいろ悩みましたが、元の歌詞からほとんど変えない形に落ち着きました。

 

映像

元の動画の雰囲気を大事にしたいので再現にしました。

再現をしたら、結局亀井有馬さんとユージさんは一回も画面に出ませんでした。
本当はBメロの一瞬出るところで出したかったです。しかし、Cメロで元動画をそのまま使ってしまったので、一貫性を保つためにBメロも元動画の男女になりました。

  • 頬を濡らしてしまうの:トレスしました。
  • 重く抑えてた本音は・日に日に増えていた本音は:元動画を連番イメージで書き出して、テキストをPhotoshopで一枚一枚消しました。Photoshopがあれば意外と早いです。

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没バージョン

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おわり